キャビアの歴史



母体であるチョウザメの誕生については諸説あります。
ジュラ紀には原型となる魚が泳ぎ、白亜紀には現在の姿だったと書物に記されています。
絶滅せずに現代まで生き残ってきた魚類として古代魚に分類されています。
   
日本ではチョウザメといえばキャビアが連想されますが、北半球の国々では白身魚の高級食材として永年食されてきました。
   
     

チョウザメをめぐる伝説の逸話はいくつもあり、古代ギリシャでは、
黒海からアテネまで直線距離にして約1074kmもの距離を運んでまでも食されており、チョウザメ数尾の価値は、羊100頭に相当するとされていたそうです。
   
   
また、時は変わり1300年初頭。
イングランドでは、英国史上最低の王との呼び名もあるエドワード2世によって「チョウザメは王室所有」と制定されました。この法律は今も続いており、チョウザメがロイヤルフィッシュと呼ばれる所以はこれにあります。
王の権力を行使してまで、独り占めしたくなるほどの美味だったのでしょうね。
     

ところ変わり、ネイティブアメリカンにとっても、チョウザメは”魚の王”と崇められていました。8月の満月の呼び名が「Sturgeon moon」となった語源は、その時期にチョウザメ漁が盛んに行われていたからだとか。
    
    
第一次大戦後、ヨーロッパでキャビアブームが起こります。
当時パリのレストランのほとんどがキャビアを提供していたそうです。ブームの影響で乱獲がおこり、世界各地でチョウザメは激減します。
絶滅を危惧し1975年、すべてのチョウザメがワシントン条約の保護下におかれることとなりました。そして同時に、天然キャビアの国際取引が禁じられました。ゆえに現在、世界で流通しているキャビアの99.9%が養殖です。
需要に応えるべく、世界中どこででも養殖ができるほどに技術は発展してまいりました。
   

そんな世界三大珍味の母体と卵は古代から現代に至るまで、舌の肥えたフーディーたちを魅了してやみません。